路傍の草、野辺の花

凡脳ブログ(佐藤幹夫)

大阪の住民投票結果について

 また酔眼朦朧、印象のみの感情言を述べる。
 僅差だった。タラレバの話だがもし橋本の構想に「カジノ誘致」がなければ逆転したのではないか。
 (私は東北に住んでおり選挙運動期間に大阪で行われた争点の応酬その一切を知らない。見当違いの意見かもしれない)
 
 四、五年前になろうか、夜7時台のTV娯楽番組に出演した知事の橋本徹は大阪が汚れ役になるとカジノ構想を述べた。
「売上が800億、経費が200億、600億を福祉などに回せます」そう言ったと記憶している(ボケ進行中の私の記憶)。
 その皮算用は変だ。一般に計画の数値は利益を過大に、経費を少なめに出す傾向がある。
 まず警察とその外郭団体が治安や風紀を理由にその利益を毟りにかかるだろう。それも売り上げの増減にかかわらず払わなければならない固定費の分野で。
 また単発だけれどIT企業もセキュリティを掲げてシステム設計と更新を理由に五月雨式の毟りに参入、その他諸々が濡れ手で粟を目論み寄ってくる。
 公設カジノならトップや周辺は天下り官僚がなる。コスト意識は低く、事業を魅力的にしようの意識も稀薄、そのくせ接待を受けることだけは慣れている人種だ。まして利用者の視線で物を考える意識は皆無。
 そんな役人連が嫌ならカジノのノウハウを持つ外国企業に丸投げするしかない。どうしたって利益の大半は流れる。
(止すがいい)テレビを見ながらの感想だった。民間のヤクザが開く賭場ならテラ銭は一割が限度でも中央競馬会は名目二割五分、実質三割近いテラ銭を取っている。
 簡便な銭儲けの法は欲の皮が突っ張った連中から上前をはねることにある、にしても、そもそも公儀がギャンブルを煽るのは外道だ。民の心を卑しくする。
 
 もうひとつ橋本徹への不賛成を言えば、教職員へのクチパク調査がある。(私は日教組の支持者ではない、それどころか先生と呼ばれる職業人すべてを嫌う)
 調査を命ぜられて諾々と従った職員も腑甲斐ない。
「いやぁー、調査なんかやったふりで、実際違反者を上げたりしませんよ」と言う人もおいでだったろう。
 すると橋本側は調査員を調査する職員を付けるほかない。つまりスターリン時代のソ連(あるいは現在もか)や今の北朝鮮に見る相互監視、相互スパイの社会を招来する。
 とてものことに橋本、将の器ではない、たまに良い提案をする係長レベルだ(将や係長の語は判り易さから、役の上下関係についての私見はいずれ改めて言う)。
 国の何省だったか、府へ明細無しに要求した金額に対し「ボッタクリバーの請求書」と抗したのは良かった。それほど上へ抗する気力を持ちながら自らが発した指示においては「オレの言うことに従え」の態度しかとらない。そんな男が統治論を述べるとは片腹痛い。
 
 大阪都構想には甘さがある(道州制についても同様)。役所役人は自己増殖し、また一度手にした権益は決して離さないという二つの悪弊を持つ。今回の都構想にはそれへの厳密な縛りがない。したがって二重行政を廃そうとしながら三重行政を作る結果に終ったろう。
 
 という具合に私は橋本徹の能力を低めに見積もるけれど、前々回の知事選、どこかの政党が週刊誌を使い「ヤクザ」「部落」をキーワードにネガティブキャンペーンを張ったのに対し、それに抗した大阪人を讃える。
 今度の住民投票前日、夜7時のNHKニュースで両派を紹介する映像が流れた。演説する政治家や同調者、町の声、それぞれ四、五人ずつ。最初に演説する反対側政党政治家の画像を見ながら、(こういう顔のやつとは飲みたくないな)と酒を口にしながら私は思ったものだ。続く人たちの顔も嫌いなタイプ。対比して賛成派の四、五人はいずれも私好みの顔と表情だった。
 この一文はそんな根拠のない印象から草したわけで、もとより何の価値もない。
 
 告白します。私、知事選で橋本に投票し、今回は賛成票を投じた大阪人のファンです。
「やめてくれ、お前みたいな能無しから持ち上げられたらこっちの値打ちが下がる」とお言いであれば撤回します。
 ただ、大阪以外の地においてあなた方に民主主義国家の中で錆びていない人々を見たという実感を覚えた者がいるとだけ伝えたい。
 あなた方の中からすぐれた構想が生まれるのを期待します。