路傍の草、野辺の花

凡脳ブログ(佐藤幹夫)

『小手風土記』を現代仮名遣いにする付記1信達風土雑記のこと

付記1信達風土雑記のこと 秋山村冒頭に引用された『信達風土雑記』(元文五年)は日下兼延著、福島県史第24巻に掲載されている。一行28字の二段組印刷28頁分、その中の川俣部分27行を以下に写す。和歌と俳句以外はすべて訓点返り点なしの漢文表記。…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする27附録(神主の書き込み)

27附録(神主の書き込み) この文章はガリ版本の上糠田村末に置かれ活字本にはない。編者前書きの通り明治時代の文であり現代仮名遣いに直す必要もないけれど、当時の神主たちを風靡した平田篤胤流の情緒が濃くさらに作話に類する記述もあって参考資料には…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする26小嶋村及び奥付

26、小嶋村(おじまむら)及び奥付一、[十九社内]植田社御霊宮 神主菅野因幡守 御手洗、その滴り数反の公田を潤す。 鳥居 階十二枚 長床 本社 祭所 天御中主命(あまのみなかぬしのみこと)(*1)一、薬師堂 近年梅松寺となる 地主高橋源右エ門 三州鳳来…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする25下手渡村

25、下手渡村(しもてどむら)(註1)一、熊野宮[不納六畝廿五歩] 菅野助太夫 鳥居階 松数株あり 祭所 伊弉並尊 事解男神 速玉男神一、亀居館(註2)上杉家臣 手渡周防の居城なり(大内周防と云いし者か)。 漆久保 上代 寺久保(*1)一、小手廿八番札…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする24上手渡村

24、上手渡村(かみてどむら)一、[小手十九社]甑敷(こしき)大明神 渡部薩摩守(*1) 祭所 天児屋根命なり。久代甑敷内より光輝きて託宣あるによりて鎮座すと云々。この手渡村にて今に甑敷を用いざるはこの謂れなりとぞ。 遠鳥居[松二本有り] ここを鳥…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする23下糠田村

23、下糠田村(註1)一、赤城大明神[小手十九社] 神主伊藤讃岐守 土御門御宇 元久年中遷座という 祭所 経津主神(ふつぬしのかみ) 元文二年[丁巳]正一位神階(*1) 当社は専ら武運長久の弓箭の御守神なり。神徳の広大なる事なかなか拙き筆に書きちらさ…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする22上糠田村

22、上糠田村(註1)一、女神山 小手五岳の一つなり。古諺に信夫城主佐藤庄司の娘、薬師の尊像を負い奉りこの峯に登りぬ。そのころ糠田村村民十八軒なりしが一同に霊夢を蒙りて互いに奇異の思いをなし、この峯に登りて見るに霊夢に違わず一女薬師の尊像を…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする21布川村

21、布川村(註1)一、小手十九社内 熊野大権現 [祭所 伊弉並尊 事解男神 速玉男神] 神主松本若狭守 石橋 鳥居 長床[二間に五間] 階四十一旦 例祭三月朔日 九月十九日 地主加藤茂右エ門一、愛宕山大権現 堂七尺四面一、西原 荒屋敷 反り田 脇ノ内 葭ヶ作 …

『小手風土記』を現代仮名遣いにする20御代田村

20、御代田村(みよだむら)(註1)一、[小手十九社内]宇賀神(うかのかみ) 祭所 稲倉魂命(うかたまのみこと)(*1) 遠江国(とおとうみのくに)長上郡(ながかみのこおり)大歳社をゆえありてここに遷座すと云う。大歳神は鶴と化して稲の実を含んで…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする19大波村

19、大波村(註1)一、水雲大明神(註2) 小手十九社[小手十九社にあらず](註3) 石橋 鳥居 階六十七段 祭所 瓊々杵尊(ににぎのみこと)国常立尊(くにのとこたちのみこと)建御方主神(たけみかたぬしのかみ)(*1) 伊達家麾臣下 再興舘主大波伊…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする18下小国村

18下小国村一、熊野大権現 [兼帯]木村美濃守 祭所 伊弉冉尊(いざなみのみこと)事解男神(ことさかのおのかみ)速玉男神(はやたまのおのかみ)(*1) 風呂 照内一、八幡宮一、観音堂 石燈籠二基 高屋敷一、愛宕山大権現 松数株あり 山峯一、舘 往昔大…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする17上小国村

17、上小国村(註1)一、熊野三所大権現(註2) 上下両村鎮守 神主千葉主水 小手十九社 祭所 伊弉並尊 事解男(コトサカヲノ)神 速玉男神一、小手地蔵詣第九番地蔵堂[字山の神」 地主丑太郎 神田 水の脇 高橋 天上(註3)[坂あり] 山神 杉山 妙田 北 …

『小手風土記』を現代仮名遣いにする16秋山村

当郡南に一邑有りて川俣と謂うなり。まさに二川の流れ街中に合す。是、小手庄二十六郷庶民儈合県の魁なり。また近邑は絹機(きぬはた)をもって渾(ふる)う。業となすその織り出す品類は綾(あやぎぬ)において巧み、至って繊縠(せんこく)なるは豪貴の襟…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする15小神村

15、小神村一、小手十九社春日大明神 鳥居階 往昔、天兒屋根命(あめのこやねのみこと)この山の木の上に影向(ようごう)ならせ給うゆえに木上山と云う。その後文字を小神と改め村名となれり。(*1) 御山は松杉の古木枝を垂れ繁昌の社地なりけり。例祭…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする14羽田村

14、羽田村一、春日神社 小手十九社 寛弘二年[乙巳]大和国南都春日勧請 寛文九年[酉]造営 宝暦八[戊]年宮造営 元和六年[庚申]吉田家老権之進、鈴鹿治左衛門、始めて奥州に下向有りて神社御改、その砌、故有りて菅野氏を改めて吉田氏を賜る。(*1) 元文…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする13青木村

13、青木村一、男出神大明神 小手十九社 鳥居額惣鎮守 小手神大明神[玄石書]階八十五枚 雷神風神門碑銘 奉寄進階建立延享三[丙寅]天八月朔日 手水石 拝殿 本社 末社疱瘡神[祭所 稲背脛命(いなせはぎのみこと)]例祭八月朔日より三日迄 一社両神主 斎藤左…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする12立子山村

12、立子山村(註1)一、八幡宮 八八幡とて八所あり 神社考に云う。清和天皇御宇、貞観元年八月、大安寺沙門行教奏問して豊前国宇佐より山城国男山に勧請す。応仁(おうじん)天皇是なり。その後諸国に遷座し奉るなり。(註2)(*1)一、八釈迦 八所に…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする11飯野村

11、飯野村一、大宮大明神 小手十九社 石の鳥居 石燈籠二基 天明元[辛丑]八月九日と銘有り一、観音寺[武州江戸上野末寺天台宗 不納八畝六歩]八龍山と号す一、小手地蔵詣十三番地蔵堂(註1)観音堂境内の内一、地蔵 西飯野南 地主天明院 古碑(註2)建武…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする10大久保駅

10、大久保駅(註1)一、住吉大明神 石の鳥居石垣階九枚 松杉数株有り、大石有り。 祭所 上箇男命 中箇男命 底箇男命(*1) 三神筑前国那珂郡に鎮座し神皇后宮三韓を攻め給えし時に出現ましまして、皇軍御船を守護し速やかに韓国平らげ、その後神託によ…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする9西五十沢村

9、西五十沢村(にしいさざむら)(註1)一、麓山(はやま)大権現 硯山に一、木村山林正寺 [字]山田 浄土真宗(*1) 開基は上杉景勝の家中、木村隼人という人開基なり。よって木村を山号とせり。 十一月廿二日より廿八日迄親鸞上人の忌日法会、世諺にお…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする8東五十沢村

8、東五十沢村(ひがしいさざむら)(註1)一、小手十九社正一位熊野三所宮 延喜式に云う。紀伊国牟婁郡(むろぐん)熊野早玉神社と之に依り以て速玉男(はやたまお)事解男(ことさかお)伊弉冉(いざなみ)の三神、熊野三所権現となす云々。(*1) 当…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする7大綱木村

7、大綱木村(註1)一、口太山(くちぶとやま) 小手五岳の第一なり。 この山、安達郡伊達郡の境なり。峯尖(せん)にして斫(き)りなせるが如し。登れば道嶮しく積雪(シャクセツ)長(トコシ)なえにして山颪(ヤマオロシ)肌(ハダヘ)を徹(トヲ)す…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする6小綱木村

6、小綱木村(註1)一、小手庄十九社 正一位御霊宮 五間四面 神主斎藤大隅守 鎌倉権五郎景正の霊を祭ると云い伝えたり。祭礼八月朔日 元文二[丁己]年正一位神階(*1) 鳥居階十三旦 手水石銘[宝暦五己寅三月十四日斎藤大隅守藤原信之] 石燈籠二基 地主 …

『小手風土記』を現代仮名遣いにする5町小綱木村

5、町小綱木村一、稲荷大明神 祭所 倉稲魂命(うかのみたまのみこと)衣食祖神 往昔、桜田玄蕃御影館牛ヶ城を築きて城東にこの神を勧請し深く敬い信仰ありしとなり。今の地に安永年中遷座し奉る。(註1) 神主矢田部土佐守 地主氏家又治郎一、御影館(みか…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする4松沢村

4、松沢村一、小手十九社 甲(かぶと)大明神 そもそも当社、甲大明神は祭所源太義平朝臣の神霊なり。往昔、山上に神霊影向(ようごう)ならせ給う。我宮城として長く国民を安全に守らんと託宣ありしより義平山と言う。 その地に一夜に椋の木生ぜり。よって…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする3鶴田村

3、鶴田村 小手四郷の一つなり。往古蔓田と云いしを八幡太郎義家公鶴を放ち給う地なるによって鶴田と改むと云い伝えたり。また飯坂村の分郷なりと云々。一、伊豆大権現[不納四畝廿四歩] 神主 三浦日向守 鳥居長床階八十四旦。この社、勧請いつの頃というこ…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする2在飯坂

2、在飯坂村一、華塚山(はなづかやま) 小手五岳の一つなり それ当山は伊達の高山にして南は口太(くちぶと)木幡(こわた)の嶺高く聳え、西は安達太良信夫の山々、北は苅田嶽伊達大木戸国見山阿武隈の流れ、蒼天には東海の海原金華山も只この嶺より一眼…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする1町飯坂(下)

一、岩清水 この水、信達両郡に稀なる清水という。 李白の諺に石甃蒼苔に冷たし寒泉月明を湛うとはこれらの清泉を言うなるべし。(*54) 続古 松もおひ又も苔むす石清水行末遠くつかへまつらん 貫之 新拾 神垣や影ものとかに(註10)石清水すまん千とせ…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする1町飯坂(中)

一、峯能観世音 小手第一番札所 [大慈山根元山と号す、また三根とも古水帳にあり] 禅衣石(ヲイスルイシ) 地主 根元 黒江治郎右衛門(*29) 往古、秦の峯能(ミネノブ)と言いし人、持ち伝えたる御長さ一寸八分の千手眼観世音菩薩なり。(*30) 縁日…

『小手風土記』を現代仮名遣いにする1町飯坂(上)

1、町飯坂 陸奥国伊達郡小手庄風土記川俣郷(註1)一、小手庄二十六郷の惣社、正一位春日四社は人王五十四代仁明天皇御宇、山蔭中納言藤原政朝(マサトモ)卿、霊夢により岩瀬郡(イワセノコホリ)鉾衝宮(ホコツキノミヤ)に通夜したまい、施山(モミジヤ…