路傍の草、野辺の花

凡脳ブログ(佐藤幹夫)

ヤイトバナ、ビショウギク、天人唐草

 罪は花にあらずして名前の嫌いな三種。

イメージ 1ヤイトバナ。別名、早乙女花ともいうがフタリシヅカも同名を持つ。図鑑検索名は皆さんご存知ヘクソカズラ。山歩きのメモに「ヘクソカズラ(今年初見)」とは書きたくない。とあるブロガーは故意にカナを一字欠落させ表記していた。



イメージ 2ビショウギク。こんな名前はない。古名を探ってもない戦後の帰化植物。検索名、ご存知ハキダメギク。いかに碩学牧野富太郎命名だとて使いたくはない。路傍に12月の今でも葉は落としながら花だけは咲いているのを見る。長らく程よい名を思案したが私個人、今日只今よりこれをビショウギクと名付けた。径五ミリほどの花、微少は微笑と通じ「咲う」の読みは「わらう」。三分裂した五弁の舌状花が褪せた黄味を帯びていることから色彩帳などもめくったのだがそこからの命名は断念。



イメージ 3天人唐草。厳密には違う明治期の帰化植物。検索名はご存知オオイヌノフグリ。口語に訳せば「犬のでかい金玉(玉袋)」。これを気の利いた冗談と思った人間が少なくとも二人いる。命名者と初めて図録に掲載した学者もしくは編集者。これも五ミリほどの小さな花であり果実もさらに一回り小さくなる、悪趣味にも至らない誇張表現。図鑑はなぜ今でもこの名を第一名義として掲載するのか。数年前地方紙投書欄で、虚子の句を引用しご自身はこれを「るり星草」と呼ぶと言った文章を見た。(虚子の句はたぶん「犬ふぐり星のまたたく如くなり」だったろうか、メモがない。そして「るり星草」も投書した方は「瑠璃星草」と書いたかもしれない)。別名、瑠璃唐草とも言う。1月1日を基点とすれば毎年一番早く見る野辺の花がこれになる。

気取りと言われればその通り。ただ同じくシモがかっている名前でもママコノシリヌグイなどは忌避しない。